報 文

ペクチンのコレステロール無添加飼料を与えられた胃切除ラットの胆汁の胆石形成指標への影響

宮田富弘1,中島 昭1,海老原 清2

1松山東雲短期大学生活科学科
2愛媛大学農学部生物資源学科

 この研究では胃全摘出ラットの胆汁のコレステロール飽和度に及ぼすペクチンの影響を調べた.ラットをペクチン無添加飼料を与えた擬手術ラット,ペクチン無添加飼料を与えた胃全摘出ラット,ペクチン(5%)添加飼料を与えた胃全摘出ラットの3群に分け,70日間それぞれの実験飼料を与えた.ペクチン無添加飼料を与えた群間の比較では,胆汁流量,胆汁酸,コレステロールおよびリン脂質の胆汁中分泌速度,胆汁中のコール酸の割合,コール酸/ケノデオキシコール酸比および一次胆汁酸/二次胆汁酸比が胃全摘出によって上昇したが,胆汁中のケノデオキシコール酸,ウルソデオキシコール酸およびリトコール酸の割合は低下した.胃全摘出ラット群間の比較では,胆汁流量,胆汁酸,コレステロールおよびリン脂質の胆汁中分泌速度は飼料の影響を受けなかった.しかし,ペクチン添加飼料摂取により胆汁中のケノデオキシコール酸の割合は有意に上昇し,コール酸/ケノデオキシコール酸比は有意に低下した.胆汁中のデオキキコール酸の割合は有意に低下した.一次胆汁酸/二次胆汁酸比は飼料の影響を受けなかった.これらの結果は,ペクチンが胆汁中の胆汁酸組成を変えることにより,胃全摘出後の胆汁のコレステロール飽和度を改善する可能性を示唆している.

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