報 文

メカブ粘性物質の摂取がラットの消化管組織と血漿脂質に与える影響

山中なつみ1,小川  宣子1,片山(須川)洋子2

1岐阜女子大学家政学部
2大阪市立大学生活科学部

 メカブ粘性物質の摂取が消化管組織や血漿脂質に与える影響についてラットを用いた動物実験によって検討した。メカブ粘性物質を3%添加することにより飼料効率は有意に低下し,メカブ粘性物質の摂取が他の栄養素の消化吸収を阻害する可能性がある。胃と盲腸の組織重量はメカブ粘性物質の摂取により増加したが,内容物重量に有意差は認められなかった。胃や盲腸の組織重量が増加した原因として,内容物の増加に伴う容積の増大ではなく,組織が厚くなっている可能性が示された。盲腸組織の顕微鏡写真では,メカブ粘性物質を摂取したラットの方が対照群に比べ筋層が厚くなっているのが観察された。また,盲腸内容物中の水分はすべて結合水として存在し,メカブ粘性物質の摂取は盲腸内容物の保水力を高める効果のあることが示唆された。メカブ粘性物質を3%添加した飼料で5週間飼育したラットにおいて血漿脂質濃度に変化は見られなかった。

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