報 文

ラット盲腸へのフィステル装着の試みとその応用
-フラクトオリゴ糖摂取時の盲腸内醗酵の動態-

太田 篤胤,大槻 雅子,平山 匡男,足立  堯

明治製菓株式会社,生物科学研究所

 難消化性糖質であるフラクトオリゴ糖の生理作用の一部は,その腸内醗酵産物である有機酸によるものと推定されている。本研究では,ラットにおける難消化性糖質の主な醗酵部位である盲腸から内容物を経時的に採取できるように盲腸フィステルを装着したラットを用い,盲腸内容物のpHおよび有機酸組成を経時的に測定することにより,腸内醗酵環境の経時的,経日的変動を観察した。5週令のSprague-Dawley系雄性ラットに盲腸フィステルチューブを装着し,対照飼料ないし5%フラクトオリゴ糖含有飼料を6日間,10:00-16:00の時間制限給餌した。飼育開始後初日,3日目,6日目に盲腸内容物を3時間ごとに24時間まで採取し,pHおよび有機酸量を測定した。三元配置分散分析の結果,盲腸内容物のpHおよび乳酸濃度は,フラクトオリゴ糖摂取の有無,サンプリングの時刻,試験開始後の経過日数の3つの主要因全てに有意な影響を受け,盲腸内醗酵環境は経時的および経日的変動があることが示唆された。

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