報 文

大麦およびカラス麦のラット水浸ストレス潰瘍に対する抑制効果

中村 尚夫,長田 浩志,吉澤みな子

甲子園大学栄養学部

 この研究はラットの胃ストレス潰瘍に対する大麦とカラス麦の抑制効果を明らかにするために行った。
 水溶性食物繊維β-(1→4),(1→3)-グルカン素材として,加温・加湿しないで得られたドラフト分級大麦粉末(歩留り75%)およびカナダ産カラス麦粉末(歩留り57%)を用い,ラットのストレス潰瘍に対する抑制の比較実験を行った。
 水浸ストレス潰瘍抑制実験は14日間給飼の後,24時間絶食,23℃の水槽内で21時間ストレス負荷し,潰瘍抑制率を求めた。その結果:
1.使用した大麦粉末およびカラス麦粉末のProsky法によるSDF含量は夫々4.60%と5.54%でMcCleary法によるβ-(1→3)-グルカン含量は夫々3.40%と4.75%であった。
2.大麦およびカラス麦粉末は実験に用いた10%飼料群,5%飼料群すべて5群ともにコントロール群と比較して強い潰瘍抑制を示した。
3.大麦およびカラス麦粉末のβ-(1→3)-グルカン含有量に差があったが,両飼料群のストレス潰瘍抑制率に大差はなかった。
4.大麦およびカラス麦粉末5%添加群のストレス潰瘍抑制率は,10%飼料群の約2分の1であった。

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