報 文

ヒトにおける糖アルコール含有チューインガムの緩下性および安全性の検討

奥 恒行,中村まり子,石黒美智留,田辺賢一,山口義彦,中村禎子


県立長崎シーボルト大学大学院人間健康科学研究科

 健常な成人男性(15名)ならびに女性(15名)を用いて糖アルコール含有ガムを1日摂取目安量(8粒)の3倍量(24粒、糖アルコール21.9g)を1週間継続的に摂取させ、排便状態、便性状ならびに腹部症状に及ぼす影響ならびに試験物質摂取前後の血圧,心拍数,尿性状,血液性状および血液生化学データに及ぼす影響を観察してプラセボガム摂取と比較検討した。得られた結果は以下の通りである。
 (1)実験用ガム摂取による高浸透圧による一過性下痢の誘発はいずれの被験者においても観察されなかった。
 (2)排便状態および便性状は,実験用ガム摂取期間とプラセボガム摂取期間との問に有意差は認められなかった。
 (3)腹部症状は,いずれのガムを摂取した場合にも重篤な症状は認められなかった。しかし,実験用ガム摂取期問においてはプラセボガムに比べておならが頻発することが観察された。
 (4)実験用ガム摂取は,血圧,心拍数,尿性状,血液性状ならびに血液生化学データに異常値を示さなかった。以上の結果,実験用ガムを1日摂取目安量の3倍量を摂取しても生体に及ぼす負の影響は極めて少ないことが明らかになった。

戻る