報 文

妊娠・授乳期ラットおよび離乳後の仔ラットの脂質摂取量の差異が低脂肪食飼料と等エネルギー量に調製したセルロース添加高脂肪食飼料の嗜好性に及ぼす影響

中嶋洋子1,野本裕子2

1聖徳大学人文学部人間栄養学科
2聖徳大学人文学部生活文化学科

 離乳前および離乳後の脂質摂取歴が脂質の嗜好性に及ぼす影響を解明するため,妊娠・授乳期ラットの脂質摂取量の差異が離乳後の仔ラットの脂質摂取嗜好に及ぼす影響と,離乳後の仔ラットの脂質摂取量の差異がその後の脂質嗜好性に及ぼす影響を,低脂肪食飼料(LFD)およびLFDと等エネルギー量になるようセルロースを添加して調製した高脂肪食飼料(冊D)を用いて調べた。妊娠ラットは3群に分け,LFD,HFD及び標準食飼料(CTD)で妊娠・授乳期問飼育した。LFD群とHFD群の仔ラットには,LPDとHFDの選択摂取を離乳直後より4週間行わせた。CTD群の仔ラットは離乳後2群に分け,1群はLFDで他群はHFDで4週間飼育後,両群の仔ラットにLFDとHFDの選択摂取を4週間行わせた。LPD群とHFD群の仔ラットとも離乳直後のHFD摂取割合は75~80%と高かった。選択摂取期間中,HFD群の仔ラットは同様のHFD摂取割合で摂取し続けたが,LFD群のHFD摂取割合は低下し離乳3,4週後には約20%になった。また,離乳後LFDまたはHFDを摂取したCTD群の仔ラットのHFD摂取割合は,両群の仔ラットはともに約25%と低かった。これらの結果から,・妊娠・授乳期にHFDを摂取した母親に授乳された仔ラットの離乳後のHm摂取嗜好は,離乳後にHFDを摂取した仔ラットよりも高い,・離乳後のHPD摂取はHFD嗜好性に影響を及ぼさなかったことから,離乳後にHFDを摂取したCTD群の仔ラットは脂質を適正に摂取する能力を失わないことが推測された。

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