報 文

還元イソマルトオリゴ糖の急性・亜慢性毒性および
変異原性試験並びにヒトに対する緩下作用の評価

常広  淳1,岡本 勝之2,粟元 正二1,弥武 経也2
金子 俊之2,平尾 昭法3,蟹澤 成好4

1昭和産業(株)総合研究所 鹿島研究センター
2昭和産業(株)総合研究所
3日研化学(株)大宮研究所
4横浜市立大学医学部病理学第一講座

 イソマルトオリゴ糖アルコールを主成分とする還元イソマルトオリゴ糖を飼料に3%,または10%混合し,ラットに16週間自由摂取させて亜慢性毒性について検討をおこなった。また,ラットを用いた急性毒性試験,および細菌・細胞を用いた変異原性試験,さらにはヒトに対する緩下作用に対しても検討をおこない,以下の結果を得た。
1.亜慢性毒性試験ではラットの成長抑制はみられず,死亡例もなかった。血液検査,剖検所見,組織病理所見でもIMO-H摂取による特異的な異常  所見はみられなかった。
2.急性毒性試験では経口投与によるラットに対するLD50値は32.4 g/kgであった。
3. Salmonella typhimurium TA98,TA100,TA1535, TA1537及びEscherichiacoli WP2uvrA-に対する変異原性,ならびにCHL細胞に対する染色体異常誘発性は認められなかった。
4.成人男子による下痢誘発に対する最大無作用量は0.6g/kg程度と推定され,陽性対照として用いたマルチトールの2倍程度の値であった。
 以上の結果より、IMO-Hの毒性は極めて低く、安全な糖質と考えられた。また、ヒトに対する緩下作用も一般の糖アルコールより低いことが判明した。

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