研究ノート

乳果オリゴ糖含有クッキーが成人男性の
腸内菌叢および排便に及ぼす影響

森川 尚美1,藤田 孝輝2,塚原 典子3,佐藤 和人3,4,江澤 郁子3

1松谷化学工業株式会社研究所栄養研究室
2(株)横浜国際バイオ研究所 研究開発部
3日本女子大学 家政学部 食物科
4日本女子大学 保健管理センター

 健常な中高年男性(5名)に乳果オリゴ糖(LS)入りクッキー(12g×4本,LS4g含有)を摂取させ,糞便菌叢,排便日数,便性状などの観点から排便状況に及ぼす影響を検討した。対照には甘味料としてショ糖のみを使用したプラセボクッキーを用い,プラセボクッキーを7日間摂取させた後(Cont.期),LSクッキーを10日間摂取させた(LS期)。糞便中の総嫌気性菌に対するBifidobacteria占有率はCont.期7日目の13.97±9.86%がLS期10日目では34.56±26.59%と有意に増加し,Bacteroidaceaeは減少傾向を示した。被験者のCont.期の1週間あたりの排便日数は6.2±0.94日であり,LSクッキー摂取による更なる増加は認められなかった。また,1週間あたりの総排便量は増加傾向を示し,便の硬さは「硬い」が減少し「軟らかい」および「ふつう」が増加し有意(p<0.05)な軟便化が認められた。
 以上の結果より,LSクッキー摂取は糞便中のBifidobacteriaを選択的に増殖させ,排便状況を改善することが示唆された。

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