報 文

発酵大麦ファイバーがラットの肝臓脂質蓄積に及ぼす影響

梅木美樹1,安東史子2,岩橋妙子2,外薗英樹3,4
林  圭3,4,大森俊郎3,4,望月 聡2

1大分大学工学部応用化学科
2大分大学教育福祉科学部
3三和酒類株式会社
4株式会社大麦発酵研究所

 大麦焼酎を製造する際に副生物として産生する大麦焼酎粕から調製した発酵大麦ファイバーがラットの脂質代謝に対する影響を検討した。発酵大麦ファイバーには食物繊維が約50%含まれており,その成分はヘミセルロース,セルロース,およびリグニンであった。10%ラードを含む比較的高脂肪食に発酵大麦ファイバーを添加した飼料をラットに与えたところ,肝臓脂質が減少した。さらに,オロチン酸を含む飼料に発酵大麦ファイバーを添加して与えたところ,肝臓脂質の異常な蓄積が抑制された。以上の結果から,これまで廃棄されていた大麦焼酎粕から得られた発酵大麦ファイバーは,肝臓脂質の蓄積に対する改善作用を有する地球環境の保全にもつながる新しい食品素材としての利用が期待できるものと考えられた。

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