報 文

カボス搾汁残渣がラットの血清および肝臓脂質に及ぼす影響

梅木美樹1,野本沙織1,宇多明日美1
児玉 望1,廣瀬正純2,望月 聡1

1大分大学教育福祉科学部
2大分県産業科学技術センター

 成熟庫および搾汁方法の異なる3種類のカボス果実搾汁残渣を食物繊維レベルが4%となるように添加した飼料をラットに摂取させた。血清脂質に対しては,カボス搾汁残渣は影響を及ぼさなかった。いずれのカボス搾汁残渣も,肝臓の総脂質,トリアシルグリセロールおよびコレステロールの蓄積を抑制する作用を有していた。肝臓脂質に及ぼす影響については,成熱度および搾汁方法による差はほとんど認められなかった。カボス搾汁残渣は,糞の総脂質排泄量を増加させ,みかけの脂質の吸収率を低下させた。すなわち,脂質の吸収抑制が肝臓脂質の蓄積抑制に影響するひとつの要因であると考えられた。肝臓コレステロールの蓄積抑制については,その作用機構として糞への胆汁酸排泄量の促進による可能性が示唆された。

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