総 説

食物繊維の定義・用語・分類の探索と日本からの新たな提案

桐山修八(検討部会長)1,海老原清2,池上幸江3,印南敏(論文作成者)4,片山洋子5,竹久文之6

1静岡県立大学食品栄養学科
2愛媛大学生物資源学科
3大妻女子大学食物学科
4東京農業大学応用生物化学科
5岐阜女子大学健康栄養学科
6宮城学院女子大学食品栄養学科

 本論文は国際的な食物繊維の概念をめぐる混乱を解決するための提案に関するものである。日本食物繊維研究会では1997年に検討部会を発足させ、1972年以来諸外国で採用されてきた食物繊維に対する定義,用語,分類に関する議論の変遷についてまとめた。さらに,この分野における研究の発展に合わせて次々と発表される新たな小消化成分の生理的意義や分類に関しても検討を行ってきた。
 こうした議論を踏まえて,部会メンバーは食物繊維という、言葉は全ての不消化成分を包括する言葉としては適切ではないという考えで一致した。ルミナコイド(lumimcoids)は,これまで使われてきた食物繊維も含めてすべての不消化成分を包含する包括的な言葉として名づけられたものである。この包括的用活はさらにでんぷんと非でんぷん成分に分類される。食物繊維は非でんぷん物質の主要な成分であり,さらに多糖類とリグニンに細分される。最終的に,ルミナコイドの定義は次のように提案する:ヒトの小腸内で消化・吸収されにくく、消化管を介して健康の維持に役立つ生理、作用を発現する食物成分。
 1998,1999年の日本食物繊維研究会学術集会において提案され,2000年11月の第6回学術集会において最終的に合意された。我々はさらに日本食物繊維研究会による新たな提案の意義を検討し、最近5つの国際的組織や他の研究者から提案されている食物繊維の定義の利点や問題点について比較検討した。

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