報 文

ラットの脂質代謝に及ぼす難消化性デンプンの摂取効果

奥村久美子,中川智行,早川享志


岐阜大学応用生物科学部農学研究科

 レジスタントスターチ(RS)源である70%ハイアミローススターチ(HAS)と湿熱処理スターチ(HMTS)の脂質代謝への影響について検討した。各RS源28.6%を含む飼料をラットに投与し比較検討した結果,HASよりHMTSの方がSCFAの組成が優れており,HMTS摂取による盲腸総プロピオン酸量の上昇によってコレステロール低下作用,脂肪酸合成抑制作用および脂質蓄積抑制作用が増強されることが推察された。また,大腸内発酵増進によるpH低下は,コレステロールからコプロスタノールへの二次代謝抑制にも影響していると考えられた。
 糞への脂質排泄量は,RS摂取群では低く,みかけの脂質吸収率はRS摂取群ではControl群よりも高かったことから,HMTS摂取による脂質の低下は吸収抑制に起因するものではなく,合成抑制が主な要因であると示唆された。
 このことより,HMTSはHASを湿熱処理して調製したものであり,元は同じで,それらのRS含量もほぼ同じであるが,脂質代謝に及ぼす影響についてはHMTSの方が効果は強く,それは盲腸内発酵特性の違いが関係しているのではないかと推察した。


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