報 文

健常人の食後血糖値に及ぼす難消化性デキストリンの影響
難消化性デキストリンの耐糖能に及ぼす影響(第V報)

若林  茂1,3,岸本 由香1,南部 征喜2,松岡  瑛3

1松谷化学工業株式会社研究所栄養研究室
2兵庫県立成人病臨床研究所
3兵庫医科大学臨床病理学

 健常成人を対象として,各種糖質負荷後の血糖およびインスリン分泌応答に及ぼす難消化性デキストリンの影響について検討した。さらに,食事負荷試験により,食後の血糖上昇に及ぼす影響について検討した。
(1〕10gの難消化性デキストリン摂取ではショ糖100g負荷後の血糖およびインスリン分泌応答を抑制し,頂値のレベルを非添加の88および69%に低下させた。また,グルコース50gおよびマルトデキストリン50g負荷に対して,難消化性デキストリンはインスリン分泌のみを抑制し,頂値のレベルは非添加のそれぞれ52および60%に低下した。
(2)うどん定食(糖質104.2g,565kca1)摂取後の血糖応答は全般に急峻であり頂値は183.9mg/dlに達した。これに対し,菓子パン(糖質137.2g,553kcal)摂取時の頂値は145.3mg/dlであり,血糖応答は緩やかであった。これらの試験食負荷において難消化性デキストリンを緑茶あるいはコーヒーに添加して摂取させたところ,いずれも有意な血糖上昇抑制効果が認められ,頂値は88および84%に低下した。以上の結果から,難消化性デキストリンは健常成人において食後の血糖上昇に対して一定の抑制効果が期待できるものと考えられた。

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