報 文

長期食生活調査における食物繊維摂取量の算定

徳井 教孝1,三成 由美2,吉村 健清1,印南  敏3

1産業医科大学産業生態科学研究所臨床疫学
2中村学園大学短期大学部
3東京農業大学応用生物科学部

 日常の食生活における食物繊維摂取量を算出するため,福岡県在住で毎日の食事を担当している女性を対象に16週間の食事記録を実施した。食事記録データが有効であった34名のデータを用いて,季節別に総食物繊維,水溶性食物繊維,不溶性食物繊維の摂取量を算出した。また,どの食品から食物繊維を摂取しているかを明らかにするため,各食品からの食物繊維摂取量の全食物繊維摂取量に対する割合を上位50まで求めた。16週間の総食物繊維,水溶性食物繊維,不溶性食物繊維の1日平均摂取量は,それぞれ,9.5±4.9g,1.6±1.1g,7.7±3.8gであり,総食物繊維摂取量は10g未満の低い値を示した。食品別食物繊維摂取量は,総食物繊維では精白米が全総食物繊維摂取量の10.3%と最高の割合を示し,上位50食品で全体の86.7%を占めた。水溶性食物繊維においては,温州みかんの割合が9.3%を示し,上位50食品で89.9%を占めた。不溶性食物繊維は総食物繊維と同様に精白米が12.7%と最も高い値を示し,上位50食品で88.9%であった。これら累積割合はどの繊維も上位100食品あたりでプラトーに達した。以上の結果から,16週間の食事記録データによる1日平均食物繊維摂取量はこれまでの報告より低いことが明らかとなった。これは調査方法,調査地域の異なっていることが一因であると考えられ,今後,この点を明らかにするため,さらに長期食生活調査を行い検討する必要がある。

戻る