報 文

亜鉛吸収に対する水溶性食物繊維摂取の影響

原   博,小西あやこ,葛西 隆則

北海道大学・農学部・生物機能化学科

 5種類の粘度、発酵性、カチオン交換能の異なる水溶性食物繊維を摂取したときの亜鉛吸収に対する影響を明らかにすることを目的とした。SpragueDawley 系雄ラット、初体重 50 g前後のものを1週間予備飼育後、基本飼料を対照群にし、それに繊維含量が 50 g/kgtest dietとなるように各種水溶性食物繊維源を添加した試験食を3週間摂取させた。添加した水溶性食物繊維は、アラビノガラクタン、グアガム部分分解物、カルボキシメチルセルロース(CMC)、サイリュームおよびグアガムである。体重増加、摂食量群間において差はなかった。試験食摂取後期(18-21日)におけるの亜鉛の見かけの吸収率と吸収量は、CMCを摂取した群で基本試料群に対して、またサイリューム群は低粘度のアラビノガラクタン群およびグアガム部分分解物群に比べて有意に低い値を取った。大腿骨中亜鉛濃度の各水溶性食物繊維摂取による変化は、試験飼料摂取後期の亜鉛吸収の変化とほぼ一致していた。以上、食物繊維摂取による亜鉛吸収の阻害は、CMC以外の食物繊維についてはみとめられなかった。

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