報 文

小麦フスマの血清コレステロール上昇因子と血中成分に及ぼす影響

江頭祐嘉合1,青江誠一郎2,綾野雄幸1

1千葉大学園芸学部・生物生産科学科
2雪印乳業株式会社・研究企画部

 小麦フスマを摂取すると血清コレステロールが上昇することが知られている。本研究では,小麦フスマ中のコレステロール上昇因子の探索および除去を目的とし,フラボン誘導体を含む画分を小麦フスマからエタノールで抽出し,そのエタノール抽出物や,他の画分をラットに投与し,血中成分(血清総コレステロール,HDL-コレステロール,トランスアミナーゼ活性値,総タンパク質,A/G比)に及ぼす影響を検討した。またエタノール処理した小麦フスマ,機械処理した小麦フスマがラットの血中成分に及ぼす影響を検討した。その結果小麦フスマ,エタノール抽出物,メタノール可溶ベンゼン不溶画分を投与した群は,有意に血清総コレステロール,HDL-コレステロール値が上昇した。小麦中の主なフラボノイドであるトリシンを含む画分を投与した群の総コレステロール,HDL-コレステロール値は上昇しなかった。エタノール処理をした小麦フスマ群の血清総コレステロール値は,コレステロール無添加,添加食にかかわらず,無処理の小麦フスマ群より有意に低い値を示した。以上の結果から,小麦フスマ中の血清コレステロール上昇因子はエタノール可溶成分中のメタノール可溶ベンゼン不溶画分に存在し,トリシンの存在する画分には存在しないこと,さらに小麦フスマをエタノール処理することにより,血清コレステロールの上昇が抑えられることが示唆された。

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