報 文

ラットの消化管機能と脂質代謝に及ぼす大麦フスマ画分の影響

清水 純1,玉川浩司2,池田彰男2,長沼慶太2
和田政裕1,滝田聖親1,印南 敏1

1東京農業大学 応用生物科学部
2株式会社はくばく 研究開発センター

 分級法により分画したフスマの外層(BB-30)と内層(BB-60)の両画分の消化管機能と脂質代謝に及ぼす影響を検討した。5週齢のSD系雄ラットに,セルロース(CP),小麦フスマ(WB),BB-30,BB-60を食物繊維(DF)レベルで5%含む飼料を4週間与えた。BB-60群では他の3群に比べ盲腸重量の有意な増加と,盲腸内容物pHの有意な低下が見られた。湿糞重量はCP群に比べBB-30群とBB-60群において有意な増加が見られた。腸内通過時間はBB-60群がBB-30群に比べて有意な短縮を示した。盲腸内の短鎖脂肪酸はフスマを投与した3群間で差が見られなかったが,BB-60群では酪酸の占める割合が多かった。血清コレステロール濃度には各群間で差が見られなかったが,肝臓のコレステロール濃度とトリグリセライド濃度はCP群に比べて各フスマ投与群で有意な低下,又は低下傾向を示した。糞中総胆汁酸排泄量は,各フスマ群がCP群に比べて有意に高値を示したが,他の3群間には差が見られず,二次胆汁酸の割合でも大きな変化は見られなかった。以上のことより,BB-60は消化管機能上からはBB-30とは異なり,むしろWBに近いもので,この現象はDF組成の違いによることが示唆された。

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