報 文

若年女性における特定保健用食品の使用実態と
小麦ふすまシリアルの排便改善効果

中嶋 洋子1,津田 淑江2,永山スミ子3,池上 幸江4

1聖徳大学人文学部
2共立女子短期大学
3東京家政学院大学家政学部
4大妻女子大学家政学部

 若年女性には便秘者が多い実態が報告されているところから,東京都及び近県の食物系に所属する女子大生を対象として便秘解消を目的とする特定保健用食品や健康食品の利用実態と小麦ふすまシリアルでの排便状況の改善効果について検討した。
 特定保健用食品等の認知と利用の調査は,対象者578名について,排便回数が1日1回の非便秘群と1日に1回未満及び不規則を加えた便秘傾向群に分けて集計した。その結果,特定保健用食品は半数の学生が知っていたのに対し,健康食品や栄養補助食品では90%以上の学生が知っていた。特定保健用食品のうち「お腹の調子を整える」食品がもっとも利用されており,対象者の15%に及び,とりわけ便秘傾向者では利用率が高かった。他方,健康食品では栄養補給,ダイエット,美容などを目的とする食品の利用が高く,栄養補助食品ではビタミンやミネラルなどの補給を目的としていた。食物系女子大生では,特定保健用食品の特性を理解して利用しているものと思われる。
 次に上記の調査対象者から52名の学生を被験者として,小麦ふすまシリアルを摂取させて排便改善効果について観察した。試験は試験食品とプラセボ食品を摂取させる二重盲検法によった。被験者は事前の申告により,便秘者と非便秘者を各々26名に分け,各試験期は1週間とし,試験期の間にウォッシュアウト期を1週間設けた。その結果,全被験者と便秘者において,排便回数,排便量,排便後の爽快感に有意な効果が認められた。非便秘者では排便回数にのみ有意な影響が認められた。これら被験者の食事調査の結果から,小麦ふすまシリアルの摂取による栄養摂取量の差異は食物繊維にのみ有意であったところから,排便習慣の改善は小麦ふすまに由来する食物繊維の効果が考えられた。

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