報 文

オートミール粥の摂取が境界域および軽度高コレステロール血症の日本人男性の血清コレステロール値に及ぼす影響:有効性と安全性の検討

鳥羽保宏1,畑本二美2,木下さと子3,内田俊昭3,小田泰士1
石井恵子2,青江誠一郎2,鈴水 豊1,藤田 孝1,辻 秀一4

1雪印乳業株式会社技術研究所
2同 社開発企画室
3同 社乳食品開発部
4エミネクロスメディカルセンター

 オートミール摂取の血清コレステロール値への影響と長期摂取時の安全性を調べることを目的に,境界域または軽度高コレステロール血症の日本人成人男性36名(平均年齢40歳)を対象に,二重盲検法による比較試験を行った。被験者を無作為に2群に割り付け,オートミール群の被験者にはオートミール45g(β-グルガン1.6g)を含むオートミール粥を,対照群の被験者にはオートミールの代わりに白米とセルロースを含む対照粥をそれぞれ1日1回ずつ12週間摂取させた。その結果,対照群の血清総コレステロール(TC)値は,摂取前に比べて増加する傾向にあった(p=0.053)。一方,摂取期間中のオートミール群の血清TCレベルは変化しなかったが,対照群に比較し有意に低い値を示した(p<0.05)。生理学的検査,生化学検査,自覚症状の調査の結果から,お腹がゆるくなる以外にオートミールの摂取による異常は認められなかった。以上,β-グルカンを含むオートミールは,血清TCレベルを調節し,安全な食品であると考えられた。

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