報 文

ヒトにおける呼気水素ガス試験による発酵分解評価の有効性と
それに基づく各種食物繊維素材のエネルギー評価の試み

中村禎子,奥 恒行


県立長崎シーボルト大学大学院人間健康科学研究科

 各種食物繊維素材各5gをヒトに摂取させ,8時間の呼気水素ガス排出量から相対的発酵分解率を推定し,それに基づいて各食物繊維素材の有効エネルギー評価を.試みた.=エネルギー評価の基準には,消化されず,腸内細によって完全に資化され,有効エネルギーが2kal/gであるフラクトオリゴ糖を用いた。得られた結果は以下の通りである。
1)雌消化性糖質であるラクチュロース,トレハロース,およびフラクトオリゴ糖摂取後の呼気水素ガス排出は,その糖質の消化性と摂取量に依存して変化した。
2)フラクトオリゴ糖を2kca1/gとしたとき,水溶性食物繊維であるポリデキストロース,難消化性デキストリン,酵素部分分解グアーガム,低分子化アルギン酸一Na,グルコマンナンの有効エネルギー量はいずれも1kcal/gとなった。
3)難消化性デンプンの有効エネルギー量は0kcal/gであった。
4)不溶性食物繊維であるセルロースもゆっくり発酵分解され,その有効エネルギー量は1kcal/gであった。
 以上の結果,呼気水素ガス試験を用いて発酵分解性を評価することが可能であることが明らかになった。ここに示したエネルギー値は,試験物質摂取後8時間まで30分母に排出された呼気水素ガス量に基づいて算出された結果である。8時間以降も発酵分解は持続しているので,さらに観察時間を長くすると異なった値になることを認識する必要がある。


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